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〜 チベット単位の蔵 〜

貨幣、度量衡など、チベットの社会や生活にかかわるデータ覚え書きのページ。まとまらないものも、とりあえず放り込んでおくぞ、と。通りすがりの放り込み、歓迎。 トゥンカー・リンポチェの論文に詳しい記載があったので、書き込む予定。dekipema

貨幣(旧チベット政府時代)  

A Pilgrim's Diary: Tibet, Nepal & India 1944-1956(Tshongpon Khatag Zamyag著, 1997)の巻末資料に当時の貨幣に関する資料があったのでそれをもとに作りました。

通貨単位カナ表記対応
kha gang, khaカカン,カ
skar ma, skarカルマ,カル《分》=2カ
skar phyed brgyad7分半カル《七分八厘》=3カ
Tam gaタンカ=3カル
zho gang, zhoショカン,ショ《銭》=2カル(2タンカ=3ショ=6カル)
srang gang, srangサンカン,サン《両》=10ショ
rdo tshadドツェー=50サン

蔵漢大辞典では「1ショ(zho)=10カル(skar)」と記述。ショとカルの関係が上の記述違う。疑問解消すべし

  • 銀の重さは次第に規格化されて行き,10カルマが1ショカンに,10ショカンが1サンカンに,50サンカンが1ドツェーに相当するようになると,貨幣としての形態わもつにいたり,これらの銀片が硬貨として用いられることになった。【シャカッパ:12-13】

硬貨  

時代によって異なる点について注意を要する。未整理。

銅貨  

  • kha gang(カカン銅貨)
  • skar phyed brgyad(7カル半銅貨)
  • skar lnga sgor mo(5カル銅貨)
  • zho gang sgor mo(1ショ銅貨)
  • zho gsum sgor mo(3ショ銅貨)
  • zho lnga sgor mo(5ショ銅貨)

銀貨  

  • dngul gyi zho lnga sgor mo(5ショ銀貨)
  • dngul gyi Tam ga dkar po(タンカ銀貨) 画像 Link
  • dngul gyi srang gang sgor mo(1サン銀貨)
  • dngul gyi srang gsum sgor mo(3サン銀貨)
  • dngul Tam srang bcu sgor mo(10サン銀貨)

(1890年の紙幣導入の後)銀貨が5, 10, 15, 30, 100ショカンの単位で発行された【シャカッパ:12-13】

  • 10ショ=1サン
  • 30ショ=3サン
  • 100ショ=10サン

銀銅合金貨  

  • srang bcu sgor mo(10サン銀銅貨)

金貨  

  • gser Tam srang nyi shu'i rin gong can(20サン金貨)

中国製の貨幣  

  • d'a yan sgor mo(ダヤン銀貨) zho bdun sgor mo
  • dngul sgor mo, rgya mgo sgor mo (四川銀貨)ljid tshad zho gsum

紙幣  

  • srang lnga'i shog dngul(5サン札)
  • srang bdun dang phyed ka'i shog dngul(7サン半札)
  • srang bcu'i shog dngul(10サン札)
  • srang nyer lnga'i shog dngul(25サン札)
  • srang brgya (100サン札) 画像 Link
  • Tam lnga bcu'i shog dngul(50タンカ札)

「1890年,チベット政府は紙幣を導入した。最初の紙幣の額面はそれぞれ,5, 10, 15, 25, 50タムカであった。後にこれらの紙幣はサンと呼ばれ,5, 10, 25, 100の額面で発行された。」【シャカッパ:13】

対インド貨幣に対する交換比率  

 *以下、Tibetan Studies in Honour of Hugh Richardson-(pp.266-7)をまとめました。時期によりコインの種類は違っていて、今回はコイン名を明示できません)

  • 1サン(=10 ショ)に対して
    • 1774年 6タンカ
    • 1784年 約9タンカ
    • 1788年 6(新コイン)、12(旧コイン)、その後すべて9に
    • 1789年 6(新コイン) *これらのコインは1タンカ銀貨と思われます
    • 1909年 約3.4タンカ *'1タムサン(tam srang)=6+2/3タンカ'。そしてこの'新コインはngul srang(1サン銀貨)のちょうど半分の重さ'より
  • 1ルピー(=16アナ)に対して
    • 19世紀中葉 約2.08タンカ *'3.2ルピー=1サン'より
    • 1879年 約2.5タンカ
    • 1881年 3 タンカ *Lhasa and Central Tibet(S.C.Das,1904,p.64)が出典とのこと
    • 1904年 3 タンカ
    • 1909年 3.5 タンカ
    • 1918年 4 タンカ *'1タンカ=4アナ'(S.C.Bell,p136)より)|
    • 1920年 4 タンカ
    • 1923年 5 タンカ
    • 1928年 9 タンカ
    • 1928年 9 タンカ
    • 1929年 約9.5タンカ *'20サン=14ルピー'(Rahul Sankrityayan,p74)より
    • 1930年 15.5タンカ *'Rahul Sankrityayan,p97'より
    • 1932年 24 タンカ

メモ  

  • 1910年頃、1タムカ=1/3ルピー【BELL1946:109】
  • 1934年頃、金貨1サン=銀貨9サン5ショという換算があった【CHMO(3):73】
  • グルカ戦争後、ネパールはマーラ王朝以来チベットから特許を得て鋳造していたチベット銀元の鋳造権を喪失【平野2004:167】
  • 乾隆帝、従来ネパールで鋳造させていたチベット銀貨の純度低下がグルカ戦争の一因であったことから、ラサにおけるチベット銀貨鋳造を命令。1792年以降新たに鋳造された銀貨には、表に漢字、裏にチベット文字で「乾隆宝蔵」と表記【平野2004:193-194】
  • 19世紀初めに流通していた貨幣【TADA1965:68】
    • 銀貨 チベット政府鋳造のもの、清朝政府鋳造のもの
    • 銅貨(補助貨幣) 清朝鋳造のもの
  • ダライラマ13世の貨幣政策【TADA1965:68】
    • 中国で鋳造された貨幣の流通をストップ
    • それにより貨幣が不足したため、インドから日本の銅板(秋田県小坂銅山産)を輸入。インドの銅・ニッケル硬貨をまねて銅貨を鋳造
    • 多田等観の勧めをいれて、金貨も鋳造し流通させるが、純金だったため国外へ流出。流通ストップ
    • 紙幣も登場

参考書  

  • 任新建,『雪域黄金ー西蔵黄金的歴史与地理』,巴蜀書社,2003,pp.288
  • 肖懐遠,『西蔵地方貨幣史』,民族出版社,1987,pp.140
  • 張怡■(草冠に孫)主編,『蔵漢大辞典』(上中下冊),民族出版社,1985,pp.3294(3冊)
  • 曹剛,『中国西蔵地方貨幣』,四川民族出版社,1999,pp.206
  • 東洋貨幣協会編纂,『貨幣』(第26巻:安南銭・新疆,西蔵銭類之部)(複刻),天保堂,1987  貨幣協会編(大正7年~昭和19年刊)の再編集複製本
  • Charles Bell,Grammar of Colloquial Tibetan,Dover Publications,1977(rep.),pp.224
  • Wolfbang Bertsch,The Currency of Tibet: A Sourcebook for the Study of Tibetan Coins,Paper Money and other Forms of Currency,LTWA, 2002,pp.158
  • Wolfbang Bertsch,The Study of Tibetan Paper Money with a Critical Bibliography,LTWA,1997,pp.93
  • N.Rhodes,'The Development of Currency in Tibet' (pp.261-8) in Tibetan Studies in Honour of Hugh Richardson Proceedings of the International Seminar on Tibetan Studies Oxford 1979,Michael Aris and Aung San Suu Kyi(ed.),Vikas Publishing House(New Delhi),1980,348pp
  • Rahul Sankrityayan,meri jivan-yatra(bhag 2),Kitab Mahal(Ilahabad,India),(1950),783pp *ヒンディー語
  • ダライラマ法王事務所のHP(「貨幣」の項

郵便切手(旧チベット政府時代)  

1.「チベットの郵便切手に就て」【青木:183】に切手に関する記述がありました。

「現行の切手は五種ありていずれも同一の図案によりただ価格の文字と印刷インキの色とを異にせるのみである。・・・・・(図案の説明は省略)

  • 一、カカン切手(Kak'ang)は緑色にして約二銭七厘に相当す。
  • 二、カルマ切手(K'arma)は青色にして約五銭強に相当す。
  • 三、チェゲ切手(chegye)は紫色にして約八銭に相当す。
  • 四、ショカン切手(Shok'ang)は紅色にして約十銭に相当す。
  • 五、タムチ切手(Tamchik,)は赤色にして約十六銭に相当す。」

*切手の実物は「河口慧海コレクション(日用品)のチベットの郵便切手」を見てください。

  • 5-094:TIBET bod gzhung(チベット政府) POSTAGE yig the'u(郵便切手)skar ma lnga(五カルマ:青色)
  • 5-095:TIBET bod gzhung(チベット政府) POSTAGE yig the'u(郵便切手)kha gang(一カガン:緑色)
  • 5-096:TIBET bod gzhung(チベット政府) POSTAGE yig the'u(郵便切手)Tam gcig(一タンカ:赤色。Damにみえますが)

2.「22 チベットの貨幣」【西川1968:pp.92-4】より

 「チベット貨幣の単位は、「ウンサン」、「ショウガン」、「ガルマ」、「ハガン」に分れ、一ウンサンは十ショウガン(1 srang=10 zho gang)。一ショウガンは二ガルマ(1 zho gang=2 skar ma lnag:5カルマ銅貨2枚)。一ガルマは二十ハガン(1 skar ma lnag:5カルマ銅貨1枚=10 kha gang?)で、当時四ウンサン(4 srang=40 sho=約25.7タンカ)がインドの一ルピーの相場だった。インドの一ルピーは日本円で九十円から百円程度で、支那銀貨は一両は八ウンサン(8 srang=80 sho=約53.3タンカ)の相場となっていた。

 銅貨は、「ショウガン」、「ガルマ」、「ハガン」の三種類がある。ショウガンは昔の日本の一銭銅貨と同型同大で、鋳造年号、獅子、日月、雪山の模様が入っている。」(この項はpp.93。ただし、( )内の注は筆者 )

*銀貨の実物は「河口慧海コレクション(日用品)のチベットの銀貨 を見てください。

度量衡  

長さ  

  • 1ドンパ('dom pa 左右に広げた両腕の先から先まで)=4トゥ(khru 肘から指の先まで)【蔵漢:1422,286】
  • 1トゥ=24ソーモ(sor mo つめ1つ分、大麦7つを並べた長さ。時代によっては1トゥ=20ソーモ)【蔵漢:2964】
  • クムトゥ(bskums khru 肘から小指つけ根の関節まで)【蔵漢:286】
  • キャントゥ(brkyangs khru 肘から伸ばした中指先端まで)【蔵漢:286】
  • ニャー(nyag)【蔵漢:928】

容積、重さ  

  • 1khal:大麦約33ポンド【GOL:4】
    • 'bru khal
      • 1ドゥケー(khal)=20テ(bre)
    • ru'i khal
      • 1ルケー=20ボ('bo)【蔵漢:1975】

重さ  

  • 1サン(srang)=10ショ(zho)【蔵漢:2969】

度量衡に関係する言葉  

  • ru'i khal:17世紀初め、カルマ・テンギョン・ワンポ制定の升カルル(mkhar ru, gtan tshigs mkhar ru)による単位。大麦約14kg.【蔵漢:300,2711】
  • nya ga:秤。nyagとも。【蔵漢:928,931】
  • srang:【蔵漢:2969】
  • rgya ma:【蔵漢:534】
  • thur ma:【蔵漢:1177】
  • 'jal:(~を)計量する、量る、測る【星2003:162】
  • bshar:(穀物を升で)計量する、量る{穀物の入った升の表面を棒で均し計量する}【星2003:341】
  • 'degs:ギャマに載せる【蔵漢:1411】
  • 'bo:ます【蔵漢:1975】

広さ  

  • ドン('don):約2カン(skang)。貴族・寺院所有荘園の土地の単位【GOL2001:580】
  • カン(skang):18ケー。約2エーカー【GOL:66】
  • ケー(khal):

 

  • ラプチュン
    • 第1期 1027年-1086年(me yos-me stag)
    • 第2期 1087年-1146年
    • 第3期 1147年-1206年
    • 第4期 1207年-1266年
    • 第5期 1267年-1326年
    • 第6期 1327年-1386年
    • 第7期 1387年-1446年
    • 第8期 1447年-1506年
    • 第9期 1507年-1566年
    • 第10期 1567年-1626年
    • 第11期 1627年-1686年
    • 第12期 1687年-1746年
    • 第13期 1747年-1806年
    • 第14期 1807年-1866年
    • 第15期 1867年-1926年
    • 第16期 1927年-1986年
    • 第17期 1987年-

参考資料  

  • ichhanさんにご教示いただきました
    • Bell,Grammar of Colloquial Tibetan,pp.136-9
    • Hobson-Jobson,pp.896-8
    • 西蔵志,巴蜀書社,p210,pp.213-4
    • 西蔵地方貨幣史 p128頁にネパールの”Tanga”(「丹啓」)、p11には「蔵尼銀銭交易ー蔵尼銀銭糾紛」という副題のついた項
    • 衛蔵通志 第10巻 「銭法」の項目あり
  • 西脇正人
  • Wolfgang Bertsch,A Study of Tibetan Paper Money With a critical Bibliography link
  • Wolfgang Bertsch,The Currency of Tibet link

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