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〜 辞典編纂史@チベット 〜

辞典編纂史Top

チベットにおける辞典編纂の歴史

chimeの個人的なノートをwikiに移しました。これからはここで校正,整理,追加をしていこうと思っています。まだまだ記述がきちんとしていなくて恥ずかしい限りですが。辞書とそうでないものがいっしょくたです。

contents

9世紀  

  • 814年以前?最初の2カ国語辞書,『翻訳名義大集(Mahavyutpatti)』(bye brag tu rtogs par byed pa)の成立。
    • 「サンスクリットとチベット語を併記する語彙集であり,仏典翻訳に当たって訳語統一を図ったもの」(西田龍雄「チベット語の変遷と文字」(『チベットの言語と文化』所収))
  • 814年,『二巻本訳語釈(Madhyavyutpatti)』(sgra sbyor bam po gnyis pa)の成立。
    • 「その前序にはサンスクリット語の仏典をチベット語に翻訳する際の様々な規定が述べられており、本文は50節に分かれ約400語のサンスクリットの語句をその一つ一つに関して分解して説明し、それにどのような意味のチベット語訳をあてるかという説明がチベット語で附されている。」(『二巻本訳語釈』石川美恵編。東洋文庫)
  • 826-827年,第二次改訂(bkas bcad gnyis pa)シャーンタラクシタら三名の学者によって行われた。

11世紀  

  • 第三次改訂(bkas bcad gsum pa)ガリーのグゲの王イシェウーの時代に息子のリンチェンサンボが行った。

12-13世紀  

  • サキャ・パンディタ(sa skya paNDi ta kun dga' rgyal mtshan, 1182-1251)のtshig gi gter
    • アマラコーシャの翻訳を初めて試みる。tshig gi gterはその第一章のチベット語版【Smith:203】

13-14世紀  

  • タクパゲンツェン(yar lo grags pa rgyal mtshan, 1242-1346)とキールティチャンドラによるアマラコーシャ('chi med mdzod)の翻訳とその注釈('dod 'jo'i ba mo)
    • ロケシュ・チャンドラ編の校訂本?(The Amarakos.a in Tibet being a new Tibetan version by the great grammarian Si-tu. New Delhi. 1965.)によると,アマラコーシャ(チベット語で'chi med mdzod)は、13世紀にサンスクリットからチベット語に全訳されたもので,訳者はキールティチャンドラとタクパゲンツェン(ヤルルン出身の翻訳官)で,翻訳の行われた場所はカトマンズであるという。
  • mngon brjod mu tig phreng ba?
  • パン・ロツァワ・ロトゥーテンバ(dpang lo ts'a ba blo gros brtan pa, 1276-1342)の『簡明三身論』(tshogs gsum gsal ba)
    • パン・ロツァワはアマラコーシャのチベット語訳の校訂も行った【Smith:203-204】

15-16世紀  

  • don dam smra ba'i seng geによる百科事典的概説書(bshad mdzod yid bzhin nor bu)
    • コロフォンにはこの名前が記されているだけで他の情報はなく,どんな人物でいつ書かれたものなのか分からない【Smith:211】
    • シャタピタカシリーズの第78巻 Webcat data
  • 1476年 キョクトゥン・ムンドゥプ・ロツァワ(skyogs ston rin chen bkra shis)の辞書『リシ・クルカン』
    • タイトルは,『チベットの新旧の綴りの相違点を示すリシの宝帳』(bod kyi skad las gsar rnying gi khyad par ston pa legs par bshad pa’i li shi’i gur khang)
    • 漢名:丁香帳/蔵語新旧字弁異・丁香宝帳
    • 明代の書物。主に仏典から集めたという対照例(綴字の改変例も含めて)を約800語ほど記載している。【西田】
    • 洋装版(1981年,民族出版社,北京)が出版されている。
    • 1000語余りの単語が古語と新語の対照という形で掲載されている,いわゆる古語辞典のようなもの。ティ・レバチェン以前の語を古語とし,それ以降の語を新語と規定し、古語と新語を対照させたものである。新旧の綴り字の対照表とも言えるが,一種,難語辞典といった趣が感じられる。木版(ラサ版)あり?ウメー?。配列には特にルールがあるようには見えない。
  • 1526年 シャル・ロツァワ(zhwa lu lo ts'a ba rin chen chos skyong bzang po, 1441-1527)の辞書『正しい綴りの宝箱』(bod kyi brda'i bstan bcos legs par bshad pa rin po che'i za ma tog bkod pa zhes bya ba bzhugs so /  俗称?→dag yig za ma tog / dag yig rin chen za ma tog)
    • 蔵漢大辞典によると、16世紀初めに編纂されたものという。綴り字を間違えやすい単語を選び、正確な綴りを暗記するために作られたもの。
    • 配列は大まかな綴り字配列であり、その配列ルールも冒頭に記されている。これが初めての綴り字配列の辞書か?
    • 冒頭に記されている配列ルールとは、「基字ないしは有足字(前置字も上接字もないもの)→前置字を持つもの→上接字を持つものの順に配列する」というルールである。基本的には現行の綴り字配列と一致している。現行のものと異なるのは、前接字+上接字という組み合わせのものが現行では最後に配列されるのに対し、前置字を持つもののグループの中に入れられている点である。詳しい配列については配列法について?を参照のこと。
  • 1538年 ペーカン・ロツァワの辞書『語灯論』(dag yig ngag sgron/ dag gi sgron me)
    • タイトルは「チベット語の区別を明らかにする正字法、声音の灯明」(bod kyi brda'i bye brag gsal bar bye pa'i dag yig gi sgron ma)。
    • これが初めて「正字法dag yig」という名を冠した著作か?
    • 『第50回展示会目録−チベット関係文献−』(ソナム・ギャツォ、北村甫 国立国会図書館支部東洋文庫 1963年)によると

      本書はラサ東北方のガルチェン sgar chenで書かれ、著作年代は1400年頃。タイ dag yig 即ちチベット語の正しい綴りを教えるテキストの一つ。この種のテキスト中最も古く、かつ権威があり、注釈書も多い。種々の綴りをもつ単語をチベット式の字母順(語基だけのものと有足字の順序は不同、他は現在の諸辞典にみられる排列法)に並べ、その間に前後の単語と意味上関連ある語を適宜挿入し、誦じやすいよう1句7音節の偈頌としたもの、各句はそれ自体まとまった意味を持つものも、数句を連続して一つのまとまった意味が得られるものもある。一部の語は小字で大役サンスクリットを示し、あるいはチベット語で意味を記述しているが、大部分にはそれがない。ここに展示したのは故河口慧海将来本で、ラサ・シューパルカン版である。

      • 1400年頃というのは誤り
      • 蔵漢大辞典のペーカンの項には,15世紀の人とあるが,蔵漢大辞典の語灯論の項目には,1538年の著作とある。
      • 原文にはrnam 'phyangに書かれたとあり、それはすなわちsa khyiの年で、1538年の可能性がある。
      • 1961年にシッキムのガントクから復刻版が出た?コピーが手元にあるが、同じものか?木版印刷。
      • 1980年に西蔵人民出版社から『正字法及其注釈』(蔵文)が出ている。初版を持っている(巻末には、デルゲバルカンをもとにしたとある)。

18世紀  

サンスクリット・リバイバルの時代*1

  • 17XX年 ドカル・ツェリンワンギェー(mdo mkhar tshe ring dbang rgyal, 1697-1763)のチベット語ーサンスクリット語辞典(nye bar mkho ba'i legs sbyar gyi skad bod kyi brda' ka li'i phreng ba sgrigs ngo mtshar nor bu'i do shal zhes bya ba)
    • 翻訳名義大集やアマラコーシャ、ムクタヴァーリ、リシクルカンなど、これまでに出ている辞書を集めて編纂したもの。
    • 1751年,チベットで初めて組織された内閣の大臣の一人 参照:bka' shag@行政機関・官職のリスト
    • ポラネーの伝記,自伝(カルン伝),シュンヌ・ダメーの物語の著者
  • 1742年 チャンキャ・ルーベードジェ(チャンキャ・ホトクト1717-1786。雍正帝、乾隆帝時代の人)の著作『正字学−智者の源』(dag yig mkhas pa'i 'byung gnas)
    • チベットの種々の伝統的な学問の上で重要な名詞を集め、解説した辞典。アムドの人。ゴンロン寺(西寧にほど近い)。もともとは蒙蔵対照の書であった。モンゴル仏典翻訳におけるモンゴル語の訳語統一をはかる意味もあった。最後の章は古語辞典(古語と新語の対照辞典)である。1988年にガンデン寺チンチャーリンの版木をもとに『蒙蔵対照正字学−智者の源』を活版印刷で出版し、モンゴル人の間で好評を博した。
    • 1999年にはチベット語部分のみを抜き出して民族出版社から出版した(おそらく電脳処理)。
  • 1744年 スィトゥ・チューキジュンネー(si tu chos kyi 'byung gnas 1700-1774)の『スィトゥ文法』(si tu'i sum rtags 'grel chen mu tig phreng mdzes)
    • 30歳で書き始め、45歳のときに書き終えたという,チベットの文法とその注釈の書として名高い書。
    • スィトゥはカムの人。あらゆる学問に精通し、またチベット全土を旅し、インド、ネパール、中国にも足を運び、各地で学者と議論を戦わせたという。アマラコーシャの新訳も記した。
    • ドゥグモヒチ先生によれば、チベット全土を15年間にわたって歩き回り、様々な方言の観察をし、それを文法の記述に活かしたという。
    • アマラコーシャの新しい翻訳を出版。1764年。二言語対照。複数のサンスクリットによる注釈を付き合わせ,サンスクリットの先生であるヴィシュヌパティからの口伝に基づいて翻訳したもの。【Smith:204】
  • 1771年 サキャ・テンジンゲンツェン()のサンスクリット−チベット語対照辞典(legs par sbyar ba lha'i skad dang gang can pa'i brda' shan sbyar ba/ dri bral nor bu'i me long)
    • 『プラージュナ』翻訳名義大集,アマラコーシャ,ムクタヴァーリなど、これまでに出ている辞書を集めて編纂したもの。
    • 索引にチベット文字の綴り字順に並べたものがあるという。
    • デルゲ版の木版がある。

19世紀  

イェシケは彼の辞書の序文で「19世紀後半にチベット内地にあったチベット語−チベット語辞典は、当時ごく簡単なスペリングブック程度のものしかなく、また配列も規則的なものはなかった」と述べている。

  • 18XX年 セルトー・ロサンツーティムチューター(1845-?。gser tog blo bzang tshul khrims chos grags)の『セルトー文法』(gser tog sum rtags)
    • スムジュバとタンジューの解説書。
    • 巻末に動詞変化表、正書法の結合文字表、文法表、音声学の図、文字の説明などがある。
    • 『新編蔵文辞典』の巻末の図表はこれを参考にしたものであろう。
    • デルゲ版の木版とクンブム寺チャンバリンの木版がある。
    • 1957年活版印刷で出版(木版から章立て、表組みに起こして民族出版社から出版された)。
    • 1995年再版。
  • 18XX年 アラシャ・ガワン・テンダー(1759-1831, a lag sha nga dbang bstan dar, tbrc data)の『正字法選集−誤りを無くすための格言の新しい夜明け』(dag yig gces bsdus 'khrul spong legs par bshad pa'i skya rengs gsar ba)
    • モンゴルの人。クンブム寺。
    • クンブム寺の木版。
    • 正しい綴りを覚えるために編纂されたもので、主に同音異綴り、あるいは類音異綴りの語を並べ、綴りと意味を頭にたたき込むために小気味よいリズムで暗唱するための本。最後置字のサは不要だと主張して「サ捨てラマ」(sa 'bud bla ma)と呼ばれていたという。
    • アラシャとは、ガワン・テンダーの生まれ故郷、内蒙古自治区西部の「アラシャン」のこと(yungdrung

20世紀  

年代不明  

  • 19XX年 dag yig mkhas pa'i dga' skyed
  • 19XX年 byis pa dag yig

1920年代  

  • 1928年 蔵漢大辞典の編纂開始

1930年代  

  • 1932年 『新編蔵漢小辞典』(上180丁、下143丁)
    • 蔵文タイトル gsar bsgrigs rgya bod ming gi rgya mtsho
    • 青海省蔵文研究社編 青海省政府
    • 青海省蔵文研究社について

      1920年に、黎丹が個人資産を投じて創設したチベット語の教科書編纂機関、西寧蔵文研究社がもとになっている。1929年青海省設置後、この名前に改められ、黎丹の亡くなる1938年まで活動は続けられた。教科書を供給した他、蔵漢小辞典や翻訳名義集などを出版した。黎丹はシェーラプ・ジャムツォ(ドィ・ゲプシェー)と交友があり、1936年には黎丹はシェーラプ・ジャムツォを伴って、チベット、インド、香港、中国南部沿海州地方を視察旅行した。シェーラプ・ジャムツォは後に1941年、青海ラマ教義国文講習所を設立する。(情報源:『中国の少数民族教育と言語政策』社会評論社)

  • チベット文字も漢字も手書きである。配列は現在の排列法と同じである。 奥付には以下のように記されている。編者は漢族だったようだ。
     中華民国二十一年十二月一日初版
     編集者 青海 楊質夫
     出板者 青海省蔵文研究社
     発行者 青海省政府
     印刷者 青海省政府印刷局
  • 1932年 『漢蔵合璧分解名義大集』(4分冊) 青海省蔵文研究社編 青海省政府
  • 1936年 蔵漢大辞典の草稿完成

1940年代  

  • 1949年 ゲシェ・チューター(dge bshes chos kyi grags pa 1897年(?1898年)-1972年)のチベット語−チベット語辞典(dge bshes chod kyi grags pas brtsams pa'i brda dag ming tshig gsal ba bzhugs so) 
    • 木版印刷(ホルカン家の木版)。ラサで印刷 
    • 綴り字配列
    • 1949年初版(1957年12月、増補改訂版を出版) 
    • 初版は現在東洋文庫所蔵(もともと、ツァロンから多田等観師に贈られたもので、多田等観師の蔵書印あり。)
    • 私も初版見る機会があり,確認したところ,確かに木版刷りの洋装本であった。
    • 一段組。
    • 辞書としての工夫が随所に見られる。このような形式の木版刷り本は他にはなかったのではないか。
    • チベット語でチベット語を簡単に解説したもの。
    • 三年の歳月をかけて彫ったもののようだ。
    • 意味の記述方法は伝統的なチベットの意味記述方式に則っており、これを現代の辞典の形に編集したもの。
    • 増補改訂版(1957年)「原著者小伝」より

      1897年(1898年?)、ブリヤート・モンゴルに生まれる。18歳のときにラサに仏教の勉強に来て、セラ寺で修行を重ね、ゲシェーの学位を取得。辞典編纂を何度も思い立ったものの、十分な資金がなく、編纂活動も滞り気味であった。しかし1936年、ホルカン・ソナム・ペンバー氏*と出会い、氏がパトロンとなることによって、編纂活動を進め、1946年には辞典の編纂が完了した。1949年に木版が完成し、ラサの印刷所で印刷され、出版された。

  • 『歴代蔵族名人伝』pp.431-434

    印刷の質が悪く、値段は高く、単なる文字の注解にすぎなかったため、買った人は限られていた。

1950年代  

  • 1954年 『漢蔵新詞彙 第一集』(tha snyad gsar bsgrigs) 
    • 民族出版社 北京
    • このシリーズ四巻本は北村先生所蔵(全て1957年版)。2000年10月、星泉が譲り受けた。それぞれに前書きがあり、編集説明がある。1〜3巻は、チベット語、漢語の順で編集説明と凡例が記されているが、4巻は漢語、チベット語の順に変更されている。のちの1964年にまとめられた『漢蔵詞かん』でも、編集説明、凡例はともに漢語、チベット語の順に掲載されている。
  • 1955年 『漢蔵新詞彙 第二集』(tha snyad gsar bsgrigs) 
    • 民族出版社 北京
  • 1955年 ツェテン・シャプトゥン(tshe tan zhabs drung)のチベット語−漢語、チベット語−チベット語辞典(dag yig thon mi'i dgongs rgyan)
    • 上巻1955年、下巻1957年
    • 綴り字配列だが、他のものと違う配列法
    • 活字による印刷出版
    • 配列法が現在通用しているものとは異なっていて、上接字が付くものが、前接字が付くものより前に配列されている。ツェテン・シャプトゥンは、アク・サムテンとともに20世紀のチベット語の発展に大きな影響を与えた学者だという。他にも有名な文法書、詩学に関する著作がある。
    • 上巻には、巻末に動詞の変化表を掲載している。
  • 1957年5月 『漢蔵新詞かん 第三集』(tha snyad gsar bsgrigs)
    • 民族出版社 北京
  • 1957年12月 『漢蔵新詞かん 第四集』(tha snyad gsar bsgrigs)
    • 民族出版社 北京
  • 1957年 増補改訂版『格西曲札 蔵文辞典(附漢文注解)』 
    • 民族出版社 北京
    • 活版印刷 
    • 増補改訂をおこなった人:
      • ツォンカパ全集を漢語訳したロサン・チューパー氏(本文漢語訳)
      • 英語に優れ、新しい方式の綴り字配列に詳しい張克強氏
    • 増補改訂にあたって参照した辞書類:
      • チャンドラ・ダスの Tibetan-English Dictionary
      • Renou Etoutresの Dictionare Tibetan-Latin-Francais
      • 四体合璧文鑑(増補版)
      • グールド&リチャードソンの Tibetan Word Book
  • 1958年 ロツァワ・ケーサン・イシェ(lo ts'a ba skal bzang ye shes)の『蔵文動詞変化表』(dus gsum gyi rnam gzhag b;lo mun sel ba'i 'od snang)
    • 民族出版社。北京 
    • 古今の有名な10人の学者がこれまでに編纂してきた動詞の変化表を集め、比較対照できるようにしたもの。
    • 配列は現行の綴り字配列と同じである。
  • 1958年 セーシ・ツェワン・ナムゲー(zas gzhis tshe dbang rnam rgyal)の『同音詞典』(dag yig ma nor lam bzang)
    • 前書きによると、これが初めての同音配列の辞書であると書かれている。編著者のセーシ・ツェワン・ナムゲーはチベット軍区の役人学校の教師(漢族の人民解放軍の兵士たちにチベット語を教えていた?)である。あとがきに「北京の民族学院チベット語研究班と人民解放軍の兵士達から、チベット語学習のために分かりやすい教材がほしいという依頼があったので、『語灯論』(dag yig ngag sgron)をもとにこの辞典を編纂した。1955年4月22日に完成した」とある。その後に続けて「完成した原稿を比較点検したのはチューキ・ロトゥーおよびケーサン・ナムドゥーである」と書かれている。

1960年代  

  • 1964年5月 『漢蔵詞かん』(rgya bod shan sbyar gyi tshig mdzod) 
    • 民族出版社 北京
    • 漢語−チベット語辞典 
    • 前書きによれば、この辞書は、1954年-1957年に民族出版社から出版された四巻の漢蔵辞典(上記)を修正増補して一冊にまとめたもの。収録語数13,000語あまり。主に社会科学系の単語を集めたものであるが、日常用いられる自然科学用語、生産、手工業に関する新しい単語、諺なども取り入れた。1959年から編纂が始まった。この辞書の編纂に当たっては、青海省、四川省において翻訳業務に携わる人々の多大の貢献があった。

1970年代  

  • 1976年 『漢蔵対照詞かん』 
    • 民族出版社 北京
  • 1978年 蔵漢大辞典の編纂再開
  • 1979年6月 アク・サムテンのチベット語ーチベット語辞典(dag yig gsar bsgrigs)(漢名『新編蔵文字典』)
    • 青海民族出版社
    • 綴り字配列
    • 活版印刷
    • アイディアにあふれる意欲作。見出し語数は主見出しで6,800語、【】に入れた追い込みの中見出しで2,500語と少ないが、内容に信頼が置けるため、今でもたいへん人気があるという。装丁も美しい。1973年から編纂を開始したとある。新華書店の編纂方針にも基づいて編纂されたと言われている。中心的な編纂者は、活仏アク・サムテン師。サムテン師は出版社に勤務していたらしい。すでに故人。編纂には他に中国人一名とチベット人三名(タシラプテン氏とタクパ氏,ギュルミー氏)が参加した。タクパ氏とギュルミー氏は現在60代半ばで、西寧に在住。また、アク・サムテン師のご子息も西寧に在住。ターゲットは中学、高校生を初めとするチベット語を学習する人々。ここまで完全にチベット語で解釈を加えた辞書は後にも先にもこのこれしかない。2000年8月にはタクパ氏に会い、インタビューをすることができた。その内容については近いうちにまとめる予定。
  • 1979年10月 西北民族学院の教師たちによるチベット語ー漢語辞典(rgya bod ming mdzod)(漢名『蔵漢詞典』)
    • 西北民族学院蔵文教研組編 蘭州 甘粛人民出版社
    • 綴り字配列
    • 活版印刷
    • チベット語から引く辞典だが、チベット語の表題は「漢語−チベット語辞典」とあり、漢語の表題には「チベット語−漢語辞典」と書かれている。

1980年代  

  • 1980年 チベット語ーチベット語辞典(brda gsar rnying)
    • 青海省
  • 1980年 西蔵民族学院の教師たちによるチベット語−漢語対照辞典(bod rgya shan sbyar rgyun mkho'i tshig mdod 漢名『蔵漢対照常用詞函』)
    • 西蔵民族学院預科蔵文教研組編。四川民族出版社
    • (同音配列) 活版印刷
    • 前書きによると

      この辞書は長年の教育活動の中で集め、選択した単語を配列したもので」あり、「約3000種類の音節を表す文字と、それを用いた単語25000語を記載」している。1976年5月には草稿ができあがった。その後「我々の大学で教授する際に試用しただけでなく、親戚一族の意見も聞くなどした」という。1977年3月に「我々の大学が数名の教官を組織してこの本の草稿に増補、改正の作業をおこなった。

  • 1980年  ソナム・ゲンツェンのチベット語ーチベット語辞典(tshig mdzod brda dag kun gsal me long 漢名『蔵文辞典』)
    • 拉薩 西蔵人民出版社 
    • 綴り字配列
    • 活版印刷
    • アク・サムテンとほぼ同時期に出版された辞書。アク・サムテンの辞書と比較すると記述が雑であり、見劣りがしたためか、アク・サムテンの辞書のようには版を重ねることがなかった。私の手元に初版がある。最近になって再版された。15,000語。
  • 1981年 漢蔵英3カ国語対照辞典(rgya bod dbyin gsum shan sbyar gyi rgyun spyod tha snyad 漢名『漢蔵英対照常用詞手冊』、英名 A Handbook of Chinese, Tibetan and English Words)
    • 張連生編著 
    • 中国社会科学出版社 北京
    • カテゴリー別配列
    • 活版印刷
    • 収録語数3,684語。
    • 前書きによるとこの辞典は『普通話三千常用詞表』(中国文字改革委員会研究推広^処^編、文字改革出版社出版、1959年)を基にチベット語の単語を並べてチベット族が漢語と英語を学びやすくするために、また同時に他の民族がチベット語と英語を学びやすくするために、編纂したものだという。
    • 1990年にデリーからリプリント版が出て、インドでも出回っている。
  • 1983年 ラサ口語辞典(bod rgya shan sbyar gyi lha sa'i kha skad tshig mdzod 漢名『蔵漢対照拉薩口語詞典』)
    • 1950年代から準備が始まり、1954年9月に、第一回の謄写版印刷をおこなった。配列はラサ語の発音に合わせた配列であった。
  • 1985年 蔵漢大辞典(bod rgya tshig mdzod chen mo 漢名『蔵漢大辞典』)
    • チベット語ーチベット語−漢語辞典
  • 1988年 英語−チベット語−漢語対照辞典(dyin bod rgya gsum shan sbyar gyi tshig mdzod 漢名『英蔵漢対照詞典』 英名 English-Tibetan-Chinese Dictionary)
    • タシ・ツェリン(主編)と劉徳軍(副主編)
    • ホーンビーのOALDを基礎に編纂。
  • 1988年 (chos kyi rnam grangs)
    • 四川
  • 1989年 サンスクリット語−チベット語辞典(漢名『梵蔵対照詞典』)
    • 四川省ガバ蔵族キョウ族自治州蔵文編訳曲編纂。甘粛民族出版社。蘭州

1990年代  

  • 1990年 チベット語ーチベット語辞典(rgyun mkho dag yig phyogs bsgrigs)
    • 甘粛
  • 1991年 漢語−チベット語辞典(漢名『漢蔵対照詞典』)
    • 西蔵人民出版社等協作編纂組編
    • 西蔵、青海、四川、甘粛、雲南の各民族出版社の協力による共同編纂
    • 1976年に刊行された『漢蔵対照詞かん』が底本。
  • 1998年 『蔵文正字学集』青海民族出版社
    • 西寧 

2000年代  


*1 それ以前の三世紀ほどはサンスクリット研究が停滞していた。Gene Smith Among Tibetan Texts p.88

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