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〜 GC/gserthang08/03 〜

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『世界知識行 黄金の平原』 第八章 03  

  • 著作集pp.252-254
  • 担当:大川

釈尊が亡くなられてからあまり経たないころに成立したアショーカ王*1の石柱と文字は、バラナシやカリンガ国クシナガル?*2などインド中部および周辺部の多くの場所にあったが、それらの字形はこの[マガダ国の文字]そのものであって、今日でも見ることのできるものと同じである。また,阿闍世王*3らの時代に埋められた、仏陀とその二大弟子*4の舎利が納められた金銀や石の容器が、廃墟化していた昔の仏塔から出土した*5が、その銘文には【illust.】budhadhatuなどとこの文字そのものがあるからである。

つまるところ、アショーカの王統以前に生じた文字のひとつふたつほどが磨崖文に題字のようにあるのを含めてもなお、この文字[マガダ国の文字]のみなのであるから[ランツァやワルトゥ文字からチベット文字が生じたということはありえないの]である。

そのため、真正な顕密の経典や古い注釈書などに文字の形に基づいた説明がたくさんあるが、それらもこの文字の形のみに適合したものなのであり、また適合しうるのである。例をあげよう。律の経典に、「狩人が弓を Taの形のように耳の前で引き絞った」と述べられているとおり、ランツァ文字のTa 【illust.】 やワルトゥ文字 【illust.】 はこのようであって弓とは似てなどいないが、この[マガダ国の文字の]Taは 【illust.】 とあるとおりまさに弓に似ているのであり、中国の弓のように握り手がないインドの弓とはとりわけ似ているからである。

『saMbh'uTi(?)』に「正三角形はe字の形」とある。『無二金剛によってなされる喜金剛の修法(?)』*6には「虚空の大いなる源はe字の形である三角形である」とある。『注釈・アビダルマ精華(?)』*7に伝えられているものを参照すると(?)*8、「三角形の三つ角がある形のe字が生じた」とある。『マハーカーラ・タントラージャ・ナーマ(?)』*9には「中心なる三角形はe字の形」などと多くのタントラからの注釈書などで[言われていること]も,この三角形そのものの形に見えるe字【illust.】のみと対応する。『サラスヴァティー[の書]』*10における「j;naM[という]綴り字について」というところに【illust.】とこのような文字が使われているのもまた,こちら[マガダ国の文字]のja字の【illust.】 このようなものが横倒しになっただけものであり,読み方もまたインド式である。

『khyud(?)』などには e waM*11に関するたくさんの注釈がなされており,「記号であるeとwaMの二つの文字が導き出す印としてのe waMは,女性器*12とリンガ*13の形をしている」と書かれている。このことも,これまで我々が,ランツァ文字などとは一致しないようにしつこく対応させてきたけれども,このe wamが【illust.】このように書かれてみると,自明の理である。それだけでなく,[経典の]序文の冒頭の四つの文字にewaMmaya【illust.】*14このようになっているのが,男女の性器の形状のように見えるのは驚くべきことである。

文字に関する論書のいくつかに「文字の形は発音した時の舌・口蓋・唇のかたちのとおりになっている」とあるが、これもランツァ文字などでは難しいが、この文字の場合は大部分がはっきりとその形をしている。たとえばra 【illust.】 は舌が震えている形であり、 【illust.】 などは舌をそらす形であり、pa 【illust.】 pha 【illust.】 ba 【illust.】 などは口を閉じている形であり、ma 【illust.】 は閉じてから開いている形のようなのであり、la 【illust.】 は舌が口蓋に触れている形である。こういった点から明白なのである。

コメント  

  • 「読み方もまたインド式である」を前の文章につなげました。--hoshi 2006-11-23 (木) 22:52:15
  • 「論所」→「論書」--hoshi 2006-11-24 (金) 00:10:39
  • e vam --> e vaM --hoshi 2006-11-24 (金) 00:20:41
  • 書名については注をつけました。--hoshi
  • 「中心なる三角形はe字の形」とある。このように多くのタントラの論書にもこのe字△は三角形そのものの形であるという様子である。→「中心なる三角形はe字の形」などと多くのタントラからの注釈書などで[言われていること]も,この三角形そのものの形に見えるe字【illust.】のみと対応する。--hoshi
  • 『妙音仙女の声律学(?)』の中で 【illust.】 という文字があるのもまたこれはdza字の 【illust.】 が横倒しになっただけものであり,読み方もまたインド式である。→『サラスヴァティー[の書]』における「j;naM[という]綴り字について」というところに【illust.】とこのような文字が使われているのもまた,こちら[マガダ国の文字]のja字の【illust.】 このようなものが横倒しになっただけものであり,読み方もまたインド式である。--hoshi
  • 『マハーカーラ...』以下,と『khyud』以下のパラグラフをそれぞれ修正しました。元の訳文との異同はバックアップから参照してください。--hoshi

*1 前3世紀ごろ、インドのマガダ国に君臨したマウリヤ王朝第3代の王。インドを統一、仏教を保護宣布し、第3回仏典結集を行ったという。王の活動は磨崖・石柱に刻まれて保存。アジャータサットゥらの建立した10の仏塔を破壊して仏舎利を収集し、さらに細分化してインドの各地に多くの仏塔を建立
*2 kalingkagirinagara:
*3 アジャータサットゥ。古代インド、マガダ国の王ビンバシャラ(頻婆娑羅)の子。ダイバダッタ(提婆達多)にそそのかされ、父王を殺し母后イダイケ(韋提希)を幽閉して即位したが、のち釈尊の教化によってざんげし、仏教の保護者となった。釈尊の死後、仏舎利は分割されて10の仏塔が建立されたが、その建立者のひとり
*4 舎利佛(シャーリプトラ)と目連(マウドゥガリヤーヤナ)。
*5 おそらく1898年にインドとネパールの国境近くのピプラワー遺跡から発見された舎利のことを述べているものと思われる。中村元、『釈尊の生涯』、平凡社ライブラリー、233−234頁
*6 kyai rdo rje'i sgrub thabs gnyis med rdo rjes mdzad pa
*7 dus 'grel du mngon pa'i thig le
*8 bskyangs nas 'brel na
*9 mgon po mngon 'byung:nag po chen po mgon po mngon par 'byung ba zhes bya ba'i rgyud kyi rgyal po (mahakala-tantraraja-nama) のことか?TBRCによる。
*10 dbyangs can ma:dbayngs can sgra mdo(サンスクリットの文法書)を指す?
*11 eは智慧を,waMは方便を表す。女性原理と男性原理に対応する。三浦さん
*12 bhang ga
*13 lingga
*14 「如是我聞」の前半部分。ewaMは「かくのごとく」,mayaは「私によって」。ここに示された文字列ではeの字が欠落している。

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