[starLab] [starLab] [aa]
 

〜 I. I. 〜

MembersPage > I. I.

石川巌です。古代チベット史の研究者です。でも実際はあんまり自分の研究分野枠にとらわれず、敦煌から出土した巻物などから色々物を考えています。最近は敦煌文献時代の河西地域における宗教交流について考察中です。おかげでチベット世界だけじゃなくユーラシア各地の宗教について関心度急増です。

趣味 

色々ありますが、遊んでるのがバレるとあまりよろしくないので、ごく控えめに

  • ホラー、SF、変奇な映画の観賞
  • 変わったロックの鑑賞(15年ぐらい放り出してますが、最近シンセいじりたいです)
  • その他、はまると研究の進度にさしさわるようなこと

ここに参加して 

wiki っておもしろいですね。みんながはまるのわかります。徐々に色々書き足しますね!


大英図書館・フランス国立図書館調査旅行記 

I. I. によるOld Tibetan Document On-Line のためのDunhuang Tibetan manuscripts and documents 調査旅行の日記

8/21, AM1:20〜出発前夜:I. I. のグチ〜 

おそ〜い。調査のための重要書類がまだ来ない。赤ワイン2/3瓶あけちゃった。NさんFAXまだ?もうねむ、ねむ。もう5分したら寝ちゃう。もう重要書類はH主査に預けていいよ。責任を持ってOTDOのサイトにテキストを載っけてくれ。こうなりゃロンドンでプリントアウトするよ。まさか、眠ったころにFAXきたりして⋯。たのむぜBaby ねむらせてくれ。じゃね〜グゥ。⋯と思ったら、電話がきた。もう!ちょっと酔っぱらい状態で電話に出ちゃった。メールで送信ね⋯。OK、OK。次から催促は早めにすることにするよ。こちらも悪い⋯。はあ、寝不足で飛行機だと耳痛するんだよなあ⋯。

8/23, PM7:30 

本日、大英図書館で調査開始。結局IOL Tib J 738.2 調査不可。代りに同文献収録CDの寄贈を受ける。いつも思うが、コミニュケーションがろくにできないと極めて不便。 大英シルクロード展、すごし。昨日の街歩きのため、足を痛めたので、30分で切り上げたが、まともに見たら、一日つぶれそうだ。足がまともになってきたら少しゆっくり見るとする。

8/24, PM6:30 

昨日からIOL Tib J 739 の校訂テキスト作成に励む。以前調査した738 と同様、サイコロ占いのものだが、また違った特徴があり、面白い。この文献の完全な校訂テキストは世界初かもしれない。自分が分身でもできたら、この手の文献の研究もしたいところだ。 調査中ノートしたことの一部をここにも記録しておこう。

サイコロ占い文献IOL Tib J 739 紙は茶褐色、厚手。文献スタイルはポティスタイルの変異形とでも言おうか。ポティスタイルはインドの貝葉本を模した横に細長い紙を重ねたものだが、これの場合、正方形に近い縦長の長方形(ドゥ・ラ・ヴァレ・プサンの計測によれば15×12.5cm)、すなわち大型のカードのような紙片を重ねている。表裏にチベット文が記され、表の末行の裏が裏の第一行になり、折り返して文が綴られていく。ブラックとレッドのインクで記されている。さいの目の表示は基本的に◎や○の横並びで表示、4面ダイスを3回振って占ったらしく、シェーにより区切られた3つのブランクの中に1から4つの◎か○が記入され、この兆しの解説が次にチベット文で記されている。◎の場合はブラックとレッドのインクによるそれぞれ2つの○を重ねており、○の場合はブラックインクのものである。2度書きして綴りを修正した痕跡が間々見られる。一音節を記す途中で改行されるときもある。字体の特徴としてはu母音記号がr有足字のように記される場合があること、ツェク点がくの字型になるときがあること、e母音記号が垂直に近いこと、o母音記号が水平線のように記される場合があること、s字母があたかもp字母のように記されることがあるが、この文献のp字母はローマン・アルファベットのu字のように綴られていることなどが挙げられるだろう。

8/25, PM8:00 

今日の夕食はギネス一杯。本当はギネスと一緒に何か食べたかったが、キッチンクローズドな時間帯にパブ入りしてしまっていた。あとで夜食を食べよっと。夕方6時以降にならないと食事作らないとこもあるし、それぞれの店がそれぞれの都合で営業してるというのが何かイギリスらしい。俺はそういうのは好きだ。しかしせっかくパブ=社交場に入ったのだから、他のお客やカウンターの人たちと色々会話したいものだ。英会話力が皆無に近いのが大きなプロブレムだ。今日、初めて文献の複写を依頼したが、相手の説明がわからず、分けの分からんうちに複写してもらった感じ。しかしA3モノクロ2枚で4£(850円ぐらいか)は高い。…物価が高いのはしょうがないとして、チベット好きたちには非難されそうな気がするけど、第一につけなければならない外国語会話力は英会話力であると痛感した。世界共通語は英語だものね。インターネットカフェでずっと粘ってる気はないから、英文で日記付けたりしないけど、日本に帰ったら、英作文する機会を増やしたい。また洋画DVDでも教材にしてヒアリング力を養成するとしよう。

夕方、在英日本人彫刻家のO女史と知り合う。神戸外大のT教授ともお知り合いの方だったので、話が弾んだ。

今日の仕事の方は占いの校訂を完了し、予言書IOL Tib J 733 を再チェックし、さらに735 の校訂を進めた。日本の研究機関所蔵のマイクロでは真っ黒で読めなかったものがよく調べられた。マクドナルド女史の読みはかなりの程度修正されるべきであることがわかった。 帰国後の作業を楽にするため、ここに735の第一段落の新たな転写と訳を記録しておこう。

1 $ / / tsham dang phywa'i bka' ste / lha myI [

ツァムとチャの御命令。すなわち、神と人…

2 du song nas / / lo khrI lon phan cad/ brong zI [

に至ったのち、一万年経過するまで、トンシ…

3 myI yul du 'ongs nas / / srIn rje zo zo brang gI srid la [

人の国に到来したあと、魔王ソソタンの勢力に…

4 bzang po grangs myed pa zhIg ni/ sa las gnam du ding [nge(/ de)] [

無量の善なる者は、地から天に行った。…

5 kyis kyang myI chod pa zhIg sa dgu rIm kyi 'og na / / zangs mkhar dgu --y-n-ng-du [

によっても途絶えない者、地の九層の下、銅の城九…

6 kyIs bcug ste bzhag pa nI / srin rje zo zo brang gis phyung ste sa'I [steng?] myi [yul?] [

により入れられておかれた者は、魔王ソソタンにより出されて、地上の人の国…

7 'ung ltar / brong zI leg pa'I sr[i]d bzang po dang chos bzang po ni gnam du song nas / / srin rje zo zo [brang?]

かくしてトンシレクパの善い勢力と善い習俗は天に去り、魔王ソソタン

8 bragI srid ni dar te / dus ngan pa dang chos ngan pa myI yul du 'ong pa yang / / phywa dang tsham kyI bka'o / /

タクの勢力は繁栄して、悪い時代と悪い習俗が人の国に到来することも、チャとツァムの御命令なのだ。

8/26, PM7:00 

今日の夕食はさもしくハンバーガーにしてみた。毎夜、濃厚で豊潤なギネスを飲んでいたので、なんか寂しい気がする。日記を書き終えたら、パブに入るか!仕事の方は予言書IOL Tib J 735 をなし終えた。先日のようにしてフォトコピーを入手したが、コピーサービス受付けのハンサムガイは誠実で丁寧で気配りもさりげなく、本当にジェントルマンだ。女の子も放っておくまい。さて、昨日の続きを書き留めておくか。

9 $ / / dus ngan pa dang chos ngan pa la bab na / yul ka la ka la yang / / rlung mar [ched?] pa 'ong

悪い時代と悪い習俗に至ったならば、どこの国でも風が途絶えるようになる。

10 kha ba dang tshar pa yang dusu ni myI 'bab ste / dgos par nI btsal du yang myI rted de / / myI [dkos(/ dkes)] par

雪や雨も季節通りに降らず、必要なときには望んでも与えられず、不要なときに

11 nI kha ba tshar pa yang skyo skyor 'bab bo / / zhing pa zhing rmed pa yang jI tsam na rmo [btang?] jI tsam na rtsa ba'I

は雪や雨もごくわずかに降るのだ。農夫が畑を耕すのも、いつごろ種まきか、いつごろ立春の

12 dus kyang myI shes pas / / lo yang khor nyes so / mu ke yang khor mor 'ong ngo / / 'greng myI 'ok kyang

ときかもわからないので、年が廻るのもうまくいかないのだ。飢饉も連続するようになるのだ。人間以下も

13 bkres grang che 'o / / myI rabs pyI phyir zhing sdug par 'ong ngo / / 'greng myi 'o chog kyang ngan dgri ded par

飢えや寒さが激しいのだ。人の世代が後になればなるほど国土が悪くなるのだ。すべての人も悪魔を信仰するように

14 'ong ngo / /

なるのだ。

15 $ / / dus ngan pa la bab na / / ji ltar 'ong zhe na / / myi'o chog chos bzang po dang dus bzang po ltar

悪い時代に至るのなら、いかにして到来するのかと言えば、すべての人が善い習俗と善い時代でのように

16 gcig gis gcig bstod cing bkur bar myi byed par 'ong ngo / / bar bar du [skar?] ma dmar po ngo mtshar

互いに讃え合い尊敬し合わなくなるのだ。時折、珍しい赤い星

17 dag 'char ro / / bar bar du gnam yang grum mo / bar bar du ni sa yang g-yoso / da [ji? ltar? te?]

々が昇るのだ。時折、天も乱れるのだ。時折、地も揺れるのだ。さて、どのようにか

18 shes byas na / / nyi ma zla ba la bdud bab ste 'chi ba lta ga la yod na / / dus ngan pa la bab te /

と言えば、日月に悪魔が到来し、死の兆しが至る所にあるとき、悪い時代に至る。すなわち

19 myI'o chog ngan dgu byed pa mthong bas / / nyI ma zla ba yang myI dga' ste / / bzhIn myi sdug par 'gyur to

すべての人が多くの悪事をなすことが見えるので、日月も怒り、姿が醜くなるのだ。

20 gnam myI dga' bas / / rlung dmar pos yul bka'b bo / / gnam grum mo / / de yang myI'o chog

天が怒るので、暴風により国が覆われるのだ。天が乱れるのだ。それもすべての人が

21 ngan dgu byed pa mthong pas te ltar kyur to / / sa 'gul ba yang / / sa la b[-]rung ste bsgul ba lta ga la

多くの悪事をすることが見えるので、そのようになるのだ。地が揺れることも、地に…、揺らされる兆しが至る所に

22 yod de / gnam gyis bskos pa'I / / rI mthon po [dang?] / brag mthon po ni / sa la myI lci 'o / / myI 'o chog

ある。天により任ぜられた高い山や高い岩山は地に対して重くないのだ。すべての人が

23 dus ngan pa dang / [chos ngan pa] la bab ste / / ngan dgu byed pa sa la khal [du(/ ngu)] bab ste / / lci nas / sa myi dga' / /

悪い時代と[悪い習俗]に至り、多くの悪事をすることが地に重荷として降りかかり、重いので、地は怒り、

24 ste rang 'gul ba yang / / 'ung ltar 'gul lo / /

自ら揺れるのも、かくのごとく揺れるのだ。

25 $ / / gnam sa gnyis myI dga' pas / tshar chu gnyis kyang dus su myi 'bab bo / / dus ma yIn / /

天地双方が怒るので、雨水双方も季節通りに降らないのだ。季節外れ

26 bar char chu gnyis bab kyang / / ci la yang myI phan te / / sa las zas rtsi gnyis la kyang bzang du

に雨水双方が降っても、何にも役に立たず、地から飲食物双方においても善く

27 myi 'byung bar 'ong / / khong na srog yo[-] dro chi[-] / / kha nas dbungs sgyu 'o chog kyang

生じないようになる。体内で生気…熱…、口からすべての息吹きも

8/27, PM8:30 

手数料を取られたくなかったので、直接ウォータールー駅に出向き、日曜日パリへ移動するためにユーロスターのチケットを買った。もう週末用の片道安チケットというのはなくなっており、しょうがないので、1.49 ポンド出してスタンダードなチケットを買った。それでも現地で直接買ったので、20〜30ポンドは安くあがったはずだ。

ホテルの窓外に洗濯ものを干すのが常なのだが、2日続けて雨に濡らされて、洗濯ものが溜まった。ホテルのランドリーサービスを利用しようとしたが、ハウスキーパーがベリーエクスペンシヴだから、self laundry にでも行くとよいと薦めてくれた。教えてもらったとこに行ったら、すでに潰れていたので、通行人に聞いて別のとこに行ってみた。聞き方が悪かったのか、見たところクリーニング屋だったが、店内にひょっとしたら、self な領域があるかと思い、入店したら、もう閉店してるのに何で入って来るのかとお姉さんに怒られた。ロンドンの文化では今営業中という指標が示されてない場合は閉店中を意味するようだ。そう言えば、一昨日のパブでキッチン・クローズドに遭遇したときは、食事のメニューがテーブルに置かれてなかった。相手の言っていることがすぐ理解できなかったので、ポカンとしてたら、出口に導かれた。明日はいつ開店かと聞いたら、「パ−パス・エイト」とか言われ、意味が分からなかったので、聞き返したら、もう一度大声で同じことを言われ、やっと「パーハップス・エイト」と言ってるんだと分かった(パーハップスというところがロンドンだねえ)。英と米では発音が違うのだ。お姉さんかなり怒ったみたいで、外へ出たとたんバタンと大きな音をたててドアが閉まった。会話できないとは悲しいことだ。コイン・ランドリーは明日探そう。もう遅いし、今から見つけても閉店かもしれない。

仕事の方は、今日、IOL Tib J 734 の再チェックを終えて、大英でなすべき仕事をすべて完了した。この文献は補修処理中の状態で、本当は閲覧できないところを、バークハルトさんの手配で見ることができた。この調査で自分の口頭発表での主張の一部を大きく変更しなければならないことがわかってきた。この文献の第1部と第2部は全く別の文献であり、別の文献同士を糊付けしたといわけでもないようだ。つまり何かの間違いで734 の番号のもとに誤って一緒にされてしまったということが真相だと思う。裏の漢文献のコピーをとりたかったが、補修作業中で保護紙から外された取り扱い要注意の状態だったので、今回は申し出なかった。 738.2 が見れなかったこともあり、明日1日余裕ができた。大英のシルクロード展をじっくり見るとしよう。

8/31, PM2:30 

This PC has no ability of writing Japanese. So, I try to write in English. I stay in Paris now. But tomorrow I am going to leave to Tokyo. Finishing my work yesterday, today I went to S. Dali exhibiton in Montmartre. Montmartre is near blue sky, and sacred, I felt. It was happened that I found a Tibetan shop at the foot of Montmartre. I entered into the shop, looked around, and talk to a shop-woman for a few minutes. She said, "I don't like Tibet, but my husband is Tibetan refugee. I am Arzentina (I don't know spelling of this word. So, it may have error)" etc. I got three address cards in this shop. Those addresses are of this shop and two Tibetan restaurants in Paris. Now I write those addresses below.

  • Lungta

Place de la Contrescarpe 6, rue Blainville 75005 Paris

Tel: 0156240238

  • Tibet store

22 rue la Vieuville 75018 Paris

Metro Abbesse ligne 12

Tel/fax: 0142527043

  • Gangs seng: Restaurant Tibetain

40, rue Lepic 75018 Paris

Tel: 0146067191

9/2, PM9:30 

東京に帰宅した。今回の文献調査旅行は、仕事においても、それ以外のことにおいても、極めて充実度が高かった。海外というと、行ってるときは楽しいが、準備が面倒だといつも思っていた。今後は面倒でも何でも積極的に海外に出よう。実際、S県立大学のプロジェクトで今冬にもまたヨーロッパへ行くつもりでいる。とりあえず、しばし日常だ。仕事で坐りっぱなしが多くなるから、腰に気をつけよう。旅行中は腰を傷める気がぜんぜんしなかった。やっぱ、人間腰を落ち着けちゃいかんねえ。

END

リロード   新規 編集 凍結 差分 添付 複製 改名   トップ 一覧 検索 最終更新 バックアップ   ヘルプ   最終更新のRSS
Copyright © 2004 Hoshi Izumi. All rights reserved.